S状結腸ガンで入院した日…けどもそれだけでなく…その1
10月4日…
その日の午後から入院する為、ボストンバックを持って内視鏡検査室へ向かいました。
そこには、紙コップを片手にうがいに向かう患者さんがいて…
!!!
こちらも気づきましたが、あちらもまた気づきました。
「その荷物は?」
「こんにちは。今日から入院なんですよ!」
「どっか悪いの?」
「ガンが見つかりまして…これから検査です」
当時、借家に住んでいました。
この借家、トイレが汲みとりでした。
今のご時世、水洗が当たり前だと思われ、5年前まで汲みとりトイレの生活をしていた自分はかなり驚かれたものです。さらに10年前は、ガスに直接火をつけ風呂を沸かしてましたから、正直…火がトラウマです。
煤が溜まると爆発して怖いのなんのと…汗
内視鏡検査室の待合室で会ったのは、うちの裏に住んでいる同じ借家のご近所さんでした。
父が亡くなったのも知ってます。救急車で運ばれていくうちの父を見送っていました。
…自分の姿を映していたのではなかろうか…そんな感じでした。
「お母さん、ひとりになってしまうね。
大丈夫だよ!ここの××先生、自分の担当医なんだけど、良い先生でね。腕がいいんだ。知ってる?
自分は、定期検査で…
ここの病院にいつも通ってたんだ」
「あら?知り合いですか?」
看護婦さんが声をかけてくる。
このご近所さんは、一年後…
自分にだけこっそりと、
「次に病院に行ったら、もうこの家には戻ってこれないよ…自分の命だ。長くない…あと少しの時間だ…」
そう会話したのを最期に、ひと月を待たずに亡くなりました。
自分がブログを書く理由…始めた理由、
それは、同じ時間を過ごし、すれ違ってきた、今は亡き…人や動物たち、その足跡を記して知ってほしいからなのかもしれない…
その人は…
※クローン病で、何度も手術をして…お腹の中は癒着して人口肛門もつけてました。
家族に迷惑を掛けないよう、離婚し、病気で働けないので生活保護を受けてました。
たまに、別れた奥さんや成人した息子さん二人が訪ねて来て…
猫たちに愛され、その人を見つけると猫たちが走って集まるような…そんな人でした。
猫さんを一匹飼っていました。ある日その子が脱走し、自分自身が亡くなった後の行く末を心配してました。
猫さんが戻ってきたときに、自分はいないのだから…
生活保護を受けてたからか…
病気で働くことが出来なかったからか…
負い目と後ろめたさがあったからか…
近所を回り手助けをするのが趣味のような人でした。
良く自転車に乗っていました。けども…いつしか歩くことの方が多くなっていったのです。
傍目から見ると、仕事もしてない、近所をウロつく…そんな人でしたから、人から誤解を受けていたかもしれません。
大概の人は見た目で人を判断してしまうので…
ご近所さんとは、ここで別れ、内視鏡検査を受けるため着替えに行きました。
「昨日は、消化の良いものにしてくれた?
今日は、昨日より(使用する)管が細いからね。腫瘍がどのくらいか(長さが続くのか)調べないといけないから、奥まで調べるよ。
麻酔もするから安心して」
ーーー昨日の今日という事もあり、また腸閉塞の状態で何度も下剤というのはシンドイからか…
もしくは、この状態では食べてないだろうと判断されたのか…
その日の検査は下剤を飲んだのか吝かではない。
!!!!
「ダメじゃん!野菜食べた?
野菜は食物繊維が多くって、消化に悪いんだ!
昨日より管が細いから、壊れるかも…
おっ、1ミリぐらい隙間あるかな…何とか抜けた!あと少しだから頑張って!」
その後は、平謝りです。
すいません、湯豆腐に入ってたほうれん草、食べてしまいました…
と…
その後は、昨日とは違い…本来の診察室へ移動となりました。
※クローン病とは、消化器官全般に潰瘍が出来、熱や痛みを伴うのだ。
雨の中でひっそり咲いていた彼岸花。
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